鳥籠ノ砂

籠原スナヲのブログ。本、映画、音楽の感想や考えたことなどをつらつらと。たまに告知もします。

2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

戦後の性、そして忘れた家と思い出す友――TVアニメ『ガールズ&パンツァー』論

TVアニメ『ガールズ&パンツァー』は、主人公の西住みほが県立大洗女子学園で戦車道のリーダーを務め、チームを全国大会優勝に導いていくアニメである。戦車道とは1945年8月15日までに設計された戦車を使って行なう武芸であり、この作品では「女の…

スピヴァク『デリダ論』について ――現代フェミニズムの地平(1)

ガヤトリ・C・スピヴァク(1942~)はジャック・デリダ『グラマトロジーについて』(1967)の英訳を手がけ、そこに長大な序文(1976)を記した。彼女はデリダの略歴を紹介し終えるや否や、ヘーゲルとデリダの関係から「序文」一般の問題を説い…

軽さと重さ、あるいは衝動としての愛 ――坂上秋成『惜日のアリス』について

もし小説に「正しい読み」があるのだとすれば、おそらく私は『惜日のアリス』を正しく読むことができていない。それどころか、おおよそ「作者の意図」とは真逆の解釈をしてしまったように思われる。しかし、「それがどれだけ気まずく悩ましい瞬間だとしても…

ネグリ+ハート『マルチチュード』について ――ドゥルーズ+ガタリとのスタイルの差異など

アントニオ・ネグリ+マイケル+ハート『マルチチュード――〈帝国〉時代の戦争と民主主義』(2004)は、『〈帝国〉――グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性』(2000)の続編である。そもそも『〈帝国〉』は、グローバリゼーションに伴って…