鳥籠ノ砂

籠原スナヲのブログ。本、映画、音楽の感想や考えたことなどをつらつらと。たまに告知もします。

2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『ブラック・スワン』はAKBだ。

映画『ブラック・スワン』を観ながら、私は目の前のバレリーナの物語をそのままバレリーナの物語とは受け取っていなかった。「これは要するに、AKB48のことではないか!」と感じていた。もちろん、AKB48の秋元康氏がトマスのようなことをしている…

『存在論的、郵便的』について ――東浩紀と柄谷行人(第一回)

東浩紀のデビュー作『存在論的、郵便的 ジャック・デリダについて』(一九九八)は、従来のデリダ観を覆したことで知られている。ふつう私たちは、デリダの思想の変遷を次のように理解している。すなわち、六〇年代において彼は「脱構築」の理論について語り…

もしも人工知能がピーター・シンガー『実践の倫理』を読んだら

ピーター・シンガーは、倫理の適用範囲を人間以外、すなわち「動物」にまで拡大させたことで知られている。それは、彼が「最大多数の最大幸福」を重んずる功利主義者であることと関わっている。ここでは「幸福」が、シンプルに「苦痛ではないこと」として捉…

性愛にとって死とはなにか? ――戸田誠二、唐辺葉介、島尾敏雄

1 戸田誠二の短編「小さな死」では、とある感染症患者(「血液感染あるいはセックスでうつる」病、とだけ記されている)たちと主人公との関わりが描かれている。一人目は小学生時代、差別と偏見に満ちたクラスのなかで、学校に通い続けていた「彼女」。二人…