鳥籠ノ砂

籠原スナヲのブログ。本、映画、音楽の感想や考えたことなどをつらつらと。たまに告知もします。

2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

インターネットに善はあるか? ――TVアニメ『ガッチャマンクラウズ』について

TVアニメ『ガッチャマン クラウズ』(2013)は、言わずと知れた『科学忍者隊ガッチャマン』の長編TVシリーズ最新作である。しかし、本作は『科学忍者隊ガッチャマン』『科学忍者隊ガッチャマンⅡ』『科学忍者隊ガッチャマンF』の三部作(1972~…

マルティン・ハイデガー『存在と時間』についてのノートその1

不正確なノートその1 マルティン・ハイデガー『存在と時間』は「存在者」と「存在」を区別した。存在者が経験的な領野において人や物として個別的かつ具体的に存在しているのに対し、存在は超越論的な観念の領野において人や物を統合的かつ抽象的に規定して…

これは対幻想2.0だ。 ――東浩紀『セカイからもっと近くに』の歴史性

東浩紀『セカイからもっと近くに』(2013)は「著者最初にして最後の、まったく新しい文芸評論」として書かれた。このことは翻って、エッセイ集などを除く東浩紀の著作には「文芸評論」が存在しなかったこと、すなわち文学的作品それ自体を対象にした批…

加害としての被害、悪意としての善意 ――山城むつみ『連続する問題』を読んだ

……被害の事実を誇張することで自身の加害の事実を「なかった」ことにする姑息な被害者意識、加害者としての自己を他者に投影した上で他者を攻撃する臆病な雄々しさに身を委ねてはならない。確固たる加害者を自己に発見する勇気を、まずは、自己のうちに育て…